いつかの建築論の講義
前の席の子の耳たぶに
かじりつきたくなった
春
私の死骸を埋める季節
1000年後の若い子は
きっと私の文字も読めない
私を蔑んだ人の顔も
貴方の愛おしい横顔も
みんな等しく消えてしまう
六道を廻るとしたら
貴方はその辻で待っていてくれる?
月輪は人を食ったように
満ち欠けを繰り返し
日輪は申し訳なさそうに
春霞へ消えてゆく
後の世のまた後の世も廻り会おう
染まってゆく紫の雲の上まで
魂は昇っていく
誰だろう
1000年後の私に
花を手向けてくれるのは
そうね
その時は
真っ白なアネモネをちょうだい
いいえ
やっぱり
その手首ごと捧げて
1000年後の春にはもう
一本も桜が咲かない
代わりに
貴方の白い頭蓋骨
ユリの花みたいに
そっと
春の淡雪に埋もれてゆくでしょう
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