悲劇は内包されていた

数年前、若年層でとあるアプリが流行りだした。

 

 

ワンちゃんマークかニャンちゃんマークを選ぶだけ。

 

_ ワンちゃん「おしゃべり大好き! 気軽に話しかけてワン!」

_ ニャンちゃん「知らない人は話しかけないでニャー!」

 

 

マークが人を教育する。

 

_ 「ワンちゃんだ! 話しかけなきゃ!!」

_ 「ニャンちゃんね。 そっとしておきましょ」

 

 

アプリの流行とともに、軽微なトラブルが生じだす。

 

_ 「なぜ、あの人は私に話しかけない!」

_ 「なぜ、私に声をかけるんだ!!」

 

流行圧により、外部に浸透する。

 

 

マークが人を教育する。

 

ワンちゃんの世界とニャンちゃんの世界が形作られていく

 

_ 「アナタハ ワタシニ ハナシカケル ベキ」

_ 「アナタハ ワタシニ コエヲカケル ベキデハナイ」

 

マークが人を教育する。

 

 

十分に拡散され、エネルギーの勾配が小さくなると

トラブルは減っていき、そして、その日がくる。

 

 

 

ある穏やかな春の日

 

いつもの散歩道

 

老婆は声をかける

 

「こんにちは。」

 

 

 

とっくの昔に

 

悲劇は内包されていた

 

 

 

 

 

植平塵芥

植平塵芥

月と詩人 Author

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