テイストオブハニー

シュ!

 

フロントガラスに落ちる雨が

埃を巻き込んで作る

不等間隔な縞模様に滲む夜を

一瞬でワイパーが拭い去った

 

 

ねえ、たまには

甘い言葉ってやつを囁いてみたくない?

 

――アイスクリーム‥とか?

それは冷たすぎるわ

 

――じゃあ、キャンディ

固いじゃない

 

――クッキーではダメ?

乾いてるからダメ

 

いいわ、もう

 

 

レインボーブリッジを渡って

高速を降りて

並木道を抜けて

 

ガソリンスタンドの

オレンジ色の看板が見えた時

涙がこぼれそうになった

 

 

わたし、綺麗?

――とてもね

何をしていても

何を着ていても

何も着ていなくても

 

それで?

聞きたい答えが返って来ないのは、何故かしら

――たぶん、質問が間違っているんでしょ

 

 

もう少しだったのに、もう少し

羽田空港の対岸

飛行機の発着が見える場所まで

 

路肩に車を停めて

オーディオを切り替えると

スピーカーから流れてきたのは

古い古いシャーデーの歌

 

スウィーテストタブー

 

 

シュ

ワイパーが一瞬で拭い去る

 

少女のように恋したこと

しなかった問い

過ごした夜の数だけ見た夢

 

 

蜜の味

 

 

 

 

 

月のサカナ

月のサカナ

月と詩人 Author 詩なのか散文なのか作文なのか、良くわからない作風ですが、 読んでくださった方に、わたしの文字が映像を結び、その背景に忍ばせた心情が伝われば嬉しいです。 辛口コメント歓迎です。よろしくお願いします。

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