① 永劫の供杯
干上がった湖面を歩く渡り鳥は
腫れあがって久しい修羅のつま先にキスをする
その姿を眺める天人の琴の音が響き出す
それが合図だった
酒宴もたけなわだ
私はお気に入りの女童と粉餅を作る
我が君と共に頂くとしよう
蘭の香りに満ちた部屋で一人
貴方の帰りを待つ
我が王はただ一人と決めている
老い朽ちようともこの杯は貴方に捧げる
空冥から雷鳴が轟くころ
夜雨が激しく屋根を打つ
私はもう待てなかった
貴方に逢いたくて寒々しい桟道をひた走る
どうして逢えないの
貴方の遅れる所以は
私の知り得ない陥穽があるから?
かつて
訳知り顔の仙人が
私を泉で諭した
魂の平安は酒にこそ宿るが
それを注ぐ郎女に宿りはしないと
私が君王から心を移すとお思いなのか
この足を不自由にしてでも
貴方のそばに仕えたいと願っているのに
② 悠久の愛
少しずつ修繕してゆく過程を
粗末な草葺きの家から眺める
我が君を待てなかった女
郎女でなくなった老いた女
それでも
貴方の愛を探していた
その形をなぞるように
皓月のもとにさらしてみる
天の王たる高潔な貴方
私が見た最後の宴で玄覧していた
そのまなざしは
のどかな道をたどり
小さな祭りに向かうように懐かしい
迷宮をたどってゆく
その深遠の果てに見つけた小箱を開けると
愛しい我が君がいた
それは久しく馴染んだ虚無ではなく
輝き潤う雨だった
貴方はいつものように寵愛する
そのかすかな玉響に
静かに耳を澄ます
貴方の微笑みは波紋となって広がり
どこまでも私の胸を充たす
たとえ水火の苦しみを味わおうと
貴方の微笑みの記憶だけで
この悠久の繰り返しを生きてゆけるのです
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