薄片

見上げるたびに 剥がれてしまう

いくつもの うすい悲しみを

にじんだり ゆがんだりして

いつのまにか おぼえてしまった角度で

そっと集めてゆく、と

あしたの指先が 黒く燃えだして

めらめらと 燃え移ってしまう

 

 

閉じられたままの てのひらは

かつて そっと握られていた

きっと儚いものたちに

ふちどられた 境界線となって

もう息をしていない うすい包み紙は

いつまでも 鼓膜でありつづけ

なつかしいあしたを 待っている

 

 

記憶を焼く いとなみで

日々が 腫れてしまう

その非常階段で 手を取りあい

しなびてゆく さざめきたちに

夏の暁が 沈黙のむこうで

水色に染まってゆく 兆しを

汲みにゆきたいのです

 

 

 

 

 

 

silent

silent

月と詩人 Author

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