何かを失う哀しみを初めて味わったのは
ごくごく幼い頃 小学校にあがる前だった
あのね、ひまわりの種を飼ってたの
ふふ、笑わないで
ほんとに飼ってたのよ
ほら、あれって
大きくてシマシマ模様じゃない?
だから、てっきり昆虫だと思いこんで
ちっちゃなプラスチックの箱に入れて
砂糖水やきゅうりのしっぽをあげたり
敷き綿を替えたり、一所懸命世話したわ。
だけど、何にも食べないし
ちっとも動かないから
あー死んじゃったんだーって思って
悲しくなって凄く大泣きしたの。
ああ、笑わないでってば
その時は真剣に真剣に悲しかったんだから。
そうだ、ねえ
植物に自分を例えるとしたら
なあに?
わたし?
わたしは根無し草かなあ
西部劇の決闘シーンとかで
砂混じりの風の中を
ころころ転がっていく
枯れ草の塊があるでしょ? あれ。
それで、って?
あ。そうそう、ひまわりの種は
もちろん庭に埋めてお墓を作ったわ。
墓標の代わりに
アイスキャンディの棒を立てて、ね。
翌年にそこから、ひまわりが咲いた
‥か、どうかまでは憶えてないけれど
‥
‥咲いたのかなあ?
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