雨の匂いがした
いつの間にか
須弥山のその頂に佇む
神々の王が住まう城
長雨を降らす
その主人が坐すところ
私は気づけば魚になり
天網の宝珠へ飛び込んだ
貴方と私は鏡だった
重々無尽の世界を
無数の魚たちと游ぐ
私と貴方は一つの珠だった
群れと游いでいたはずが
巨大な怪魚へ変貌する
深遠なる回廊を游ぎ
私は天を掴む翼となった
嵐の巣に突入する
轟音が響く
私の翼はびくともしない
雷は誉れ
雨は歓喜
すべてが
私を言祝いでいた
アムリタが注がれる
私こそが
雨垂れの一粒
山から川へ海へと旅する
流れは霧散して雲になり
ゆっくりと形を変えてゆく
円環はここにあった
目が覚めると
いつもの煎餅布団
ワンルームの隅っこ
ああ
雨の匂いがする
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