透明な傷跡

古武術はかっこいい

バガボンドの辻風黄平に憧れた

武蔵を追い詰める彼の

鬼気迫る姿

圧倒された

 

私は鎖鎌を習った

 

息を呑む演武

楽しかった

 

でも

顧問がいない

先輩から教わる

その危険性

後で知った

 

ミット打ちの時

先輩の渾身の蹴り

壁に叩きつけられる私

人生初めて

過呼吸になった

息ができない

涙が溢れる

 

「怖いんでしょ?」

嘲りと哀れみの声

自分の中で

何かが壊れた音がした

 

部から離れた

召集されても無視した

そのうち

いつのまにか

除籍されていた

 

ギャラリーで会った先輩

私とは目も合わさない

存在ごと無かったかのように…

 

もう顔も合わせられない

もう何もわからない

 

体に傷はない

でも

心には生涯残る

透明な傷跡

 

 

 

 

 

 

夕日メンテナンス

夕日メンテナンス

月と詩人 Author はじめまして。 夕日メンテナンスと申します。 これまではXなどで詩を投稿していました。 どうぞよろしくお願いします。

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