真夏の日射しって
四隅を鋭く尖らせた
薄い小さなセロファンの
切端みたいね
太陽のくす玉から零れ落ちて
髪や肌をかすめて
柔らかく切り刻んで
火照らせるわ
夕方、急に降りだした雨に
みるみるうちに
黒ずんでゆくアスファルト
閃光にひび割れた
モザイク模様の低い空。
交差点で立ち止まり
空を仰ぐと
透明のビニールの傘を
伝わり落ちる雨粒が
なぜか
降り注ぐ日射しを連想させた
子供の頃、良く母に言われたわ
見えない風船を背中にいっぱい
付けてるような子 だって
いろんなものに見惚れて
ボーっとして
しょっちゅう
迷子になっていたから。
でもね今もそうなの
まっすぐ進めなくて
いつもいつも道草ばかり
水溜まりの中の小さな空や
高いビルの窓々に映る雲
木漏れ日が肌に描く斑模様に
飛び立った鳥の余韻に揺れる梢
ああ
雨の中だと日射しが恋しい
日射しの中だと闇が恋しい
昼には夜が
夜には朝が恋しくなって
なんだか
無い物ねだりの風に
クルクル回る
気まぐれな風見鶏を
いつも胸に抱えてるようね
ぼんやりと仰向いたまま
横断歩道を渡っていたら
信号が点滅し終わって
クラクションを鳴らされて
我に帰る
約束の時間もとっくに過ぎて
携帯電話も鳴りだして
わたしはスカートを
ひらめかせて走りだす
水溜まりを蹴散らしながら。
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