沢に笑う影

 

あっという間に目が眩んだ

その沢の境には大きな甑が隠されていたのだ

ある兵士が独直していた晩のこと

犬の姿をした影が広く伸びていた

その影は生き生きと躍動して見せ

不思議と光り輝き始めた

のびのびと飛び跳ねる犬の化け物は

兵士に何かを考えさせようとしていた

いつしかあの沢に辿り着き

まるで誘われるように大きな甑を手に取り

うやうやしく捧げ持っていた

犬の真っ黒な影は

堪えきれないとばかりに腹を抱え笑い転げた

兵士が手に取ったのは甑などではなく

ただの枯れ木の枝であった

兵士はしょんぼりと小さくうずくまった

犬の影はおぞましいほどに

けたたましく笑い暴れているのだった

 

 

 

 

 

 

夕日メンテナンス

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月と詩人 Author はじめまして。 夕日メンテナンスと申します。 これまではXなどで詩を投稿していました。 どうぞよろしくお願いします。

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