あっという間に目が眩んだ
その沢の境には大きな甑が隠されていたのだ
ある兵士が独直していた晩のこと
犬の姿をした影が広く伸びていた
その影は生き生きと躍動して見せ
不思議と光り輝き始めた
のびのびと飛び跳ねる犬の化け物は
兵士に何かを考えさせようとしていた
いつしかあの沢に辿り着き
まるで誘われるように大きな甑を手に取り
うやうやしく捧げ持っていた
犬の真っ黒な影は
堪えきれないとばかりに腹を抱え笑い転げた
兵士が手に取ったのは甑などではなく
ただの枯れ木の枝であった
兵士はしょんぼりと小さくうずくまった
犬の影はおぞましいほどに
けたたましく笑い暴れているのだった
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